カメラの使い方を教えてもらった朋亨少年は父親の目を盗んではちょくちょくカメラを持ち出します。
フィルムを入れていないので、何がどうなることもありませんから、父親も持ち出した形跡があっても大目に見てくれていたんだと思います。
肉眼で見ている時とファインダーの中の景色。
同じはずなのに違って見えます。
レンズのリングを指で回すとファインダーの中の像が近づいて一つになります。
像が重なる瞬間の緊張感と快感、シャッターの音、どれも興味が大きくなる事を手伝います。
ただ問題は、フィルムが入っていない事・・・
裏蓋を開けて、シャッターを切ってみたり、巻き上げレバーをいじってみると中で色々動きます。
楽しくなってのぞいていると、そこに・・・水を入れたくなってしまったのです。
水道までカメラを持って行きましたが、少しためらったのも記憶しています。
ただ水だし乾けばなんとかなるだろうと衝動が抑えきれず・・・
その後どうなったかは覚えていませんが、残念そうな父親の横顔が記憶にあります。
ただまぁその後しばらくしてオートフォーカスのコンタパクトカメラが我が家にきた事を考えると、きっとダメになってしまったんでしょうね。
最近復活しているレンズ付きフィルムが流行るもっと前の話だったと思います。
今の私が父の立場ならどうしていたか・・・う〜ん想像ができません。